Ⅼowというバンドについて

このきわめて、日本では、知名度・人気ともに低いと思われるバンドについて、語るということ。物好きではある。とはいえ、とっつきにくい要素が、仮にあるとすれば、彼らのスタイルは、スロウコア・サッドコアと呼ばれる類として捉えられているようだ。

私は、個人的に、かなりゆったりとしたハードロックあるいは、グランジロックとしても捉えられるよにも思ったけれど、ジャンルの特定とか特定の流派に属するという、いわゆる「わかりやすさ」みたいなものとは、無縁の音楽であるように思える。

Things We Lost in the Fireというアルバムで、日本での知名度が、上がったというらしいが、まだまだといったところだろうか。

このアルバム自体は、彼らのキャリアとしても名盤に位置づけられているであろうし、一番、とっつきやすいのではないだろうか。

グランジロックやハードロック的な要素を、ルーツミュージック・カントリーといったアメリカの伝統を継承しながら表現している。沈鬱な、哀し気な、あるいは停滞気味の、usオルタナティヴといった感が強い。

感情の荒々しさが抑制されていて、優し気で元気がない。声の質もメランコリックだ。

こうしてライヴを見てみると、「ロックバンド」という趣は、視覚化されてゆく。

彼らもまた、「ロック」なのだ。ただ、類を見ないところ、特異点があるとすれば、ロックに決定的に欠如しているような、優しさとか儚さを感じることだ。

アメリカで、こういった表現というものは、大衆に訴える力は弱いのかもしれない。

ハードでもっと暴力的で英雄的な表現とは、対極に位置する彼らのスタイルは、たしかに、スロウである。

この憂いを帯びた静かなギターは、かなりこじんまりとした、歌物ののモグワイを連想させる。ポストロックバンド好きで、かつ、グランジ系のオルタナティヴロックが好きな人なら、気に入るであろうところ。

Things We Lost in the Fire と前後して、THE GREAT DESTROYER では、ハードロック寄りになり、ロックファンには親しみやすくなっており、Ones and Sixesでは、エレクトロニクスを入れてみたり、多彩な顔を持っている。

lowの良さというものは、こういった讃美歌的とも評される、おだやかな祝祭感といったところだと思われる。上記リンクは、like a forest(Things We Lost in the Fire)より。

彼らは90年代から活動し始めているようで、secret nameというアルバムもまた、Things We Lost in the Fireと並んで、世間的名盤とされているようなので、ここら辺から聴き始めるのが良いと思う。

一種、宗教的な雰囲気が楽曲に顕れるときもあって、それは、メンバーがモルモン教(詳しくはしらない)のせいもあるのかもしれない。たしかに教会音楽、讃美歌のイメージがあって、ハードロック、グランジ好きというより、オルタナティヴロック好きの「無類の」音楽ファンのほうが、馴染み深いと思う。ただ、ギターを掻き鳴らししなくてもよいということをlowからは教えられる。90年代といえば、usオルタナティヴに影響を受けた上での、轟音ギターが、各所で掻き鳴らされまくっていた中で、この「静けさ」なのだから、ほとんどの人が面を食らうだろう。

とはいえ、比較的知名度の高い、radioheadやwilcoのメンバーにも目をつけられており、いわゆる、ロックに拘らない「実験性と野心に富んだバンド」として、現代オルタナティヴロックファンを、細々と、魅了し続けている、はずだ。

日本では、紹介の機会に、炙れてしまっている感が否めないが、もし、この機会に興味を持たれたのであれば、secret name、Things We Lost in the Fireあたりを、spotifyなりyoutubeなりチェックしてみてはいかがだろう。

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