jake bugg hearts that strain 感想
冒頭の一曲目、how soon the downから、面を食らいましたね。jakeに彼女ができた?というプライベートな話を加味してみても、今までにないくらいにリラックスしている。彼女とのベッドでの戯れと、のろけ全快のナンバーでした。
もともと1stの頃からのファンでしたが、同時期にいたstrypesなどの若手の中に、jake buggが居まして、俺は個人的にjakeが「本物」って勝手に思っていました。雑誌で紹介されている中では商業的に「売り」に出されているアーティストも多い中で、久々に、馬鹿正直で、古風な「ロック」をしている10代の若造がイギリスから出てきて、英国とは、難儀な国よのぉと思いました。ボブ・ディランの再来なんて売られてましたね。たしかに、端正な顔立ちに、歌声が、ちょっとアレ・・・?(失礼)っていうところとか、達観した詩才にアコースティックギターなんかも連想はするけれど。イギリスの「ロック」でアコギ一本で、バンドではない状態で出てきたってところも、今風の世代感ですかね。90年代から00年代に遡ると、ギターロック・ロックバンドっていう男たちの狂騒がありましたが、10年代に入ってくると、「ソロ・アーティスト」っていう人が徐々に台頭してきた感がありました。ノエル・ギャラガーもリアムも独立してますし、時代の風潮が「個」へ差し掛かっているといえるのでしょうか。たしかに、先進各国での人々の孤独感や断絶感はアーティストたちも例外ではないようです。
jakeの世界観の下地は、現代ならリバティーンズとかアクモンとか、場合によればオアシスとかいった、いかにもストリートチルドレン感満載の、ガレージロックなんだけど・・・とはいっても、彼は、アコギ一本で勝負してきたので、エレキが全面に出てきたのは2nd以降。(以下は2ndアルバム Slumville Sunrise)
初期の頃は、もっとシリアスでザラついたレトロ調の色彩で、ジャケットのモノクロのファインダー越しに見たような、どこか突き放した中にも熱意、深刻さ、繊細さを伺わせる楽曲群でしたね。まだ当時10代という年齢で、最初から彼のキャリアの頂に到達していた面も否めなく、3rdあたりは失速していました。彼はラップを3rdで1st、2ndアルバムで構築した世界観と、英国メンタリティを彼のアコースティック・エレキをベースにしたカントリーロックの中に落とし込む、融合させるというつもりだったのでしょうが、他の同時代のロックバンドたちの楽曲や往年の参照点と思わしき楽曲にも劣ったようなものでした。実験というか曲のようなラップソングも彼はやっていましたね。(それが、以下です)
彼が、3rd時期に理想的な彼のスタイルを作り上げたといえるのが、Tinie TempahとのコラボレーションしたFind Meという楽曲ですね。こちらは、お互いの傑出した才能が見事に融合していますが、残念なことにjakeのアルバムに収録される形にはなっていません。カントリーとラップの融合が成功していますね。↓Tinie Tempah ft. Jake Bugg - Find Me
さて、4枚目のアルバムですが、ラップ要素は見事に消えましたね。ボブディランという前評判でしたが、4作目でニールヤングになったように思えます。個人的に。ニールヤングのハーベストムーン時期を連想してみると分かる人は分かると思いますが。(もし違ったらごめんなさい。)
全体的にムードが落ち着いているんですね。初期にあったシリアスさは影を潜めていますが、表題曲は、「いつも通り」って感じですね。
↑表題曲
彼は器用で、ジャックホワイトのように、「ひとりでできるもん」って感じに、いろいろなことに手を出すんですが、結局、すべてなにかの二番煎じとか中途半端になっているんですよね。(演奏のときはさすがにバンド形式でライブするんですけど。)
たとえ、同じことの繰り返しで、アコギ一本だったとしても、彼の独自性ってものを示すことのできた、まだまだ彼の幼いころからため込んでいたリソースがあったときは、楽曲も充実しているのですが、成功してから、どうも、「jake buggのコア」がなくなったというか、曲と彼自身の人生観という密接な必然性を失ったように感じました。4枚目のアルバムは。
ところどころ、いい曲だな~って思って、それで終わりで、駄作でも傑作でもないけど、この先、彼はどうなってゆくのだろうという一抹の不安も感じざる得ないような。
大胆にいっそのことエレクトロニカを融合させるとか、そういった実験的進歩よりも、彼が飾り気なく、幼心のように、アコギ一本で必然的な表現を実現(その成功例が1stの two fingers broken に結実している)させれば、今後のキャリアにも、もう一輪くらいの華は飾れるのではないだろうか。ファンも喜ぶだろうし。
とまぁ、今の時点では、今後も期待という言い方ぐらいしかできない。人気の点でもエドシーランに完全に抜かれているし、そういう点では、インディー界隈もここ近年、ますます売れないって感じになっているし、個人的趣味みたいなことで終わらないように、頑張って欲しいな。東京/赤坂のライブにもいって「お布施」したんだから、頑張ってもらわないと笑
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